前回は、意を決して地元の不動産屋へ飛び込み、信頼できそうな社長に売却を依頼した話をしました。
トントン拍子に進んだように見えるかもしれませんが、そこにたどり着くまでには、やはり長い葛藤がありました。
それは「実家をどうするか」という根本的な問題です。
今日は、僕がなぜ「思い出の詰まった実家を残さず、売却する」という決断に至ったのか。
その理由を、感情論だけでなく、現実的な将来設計の面から整理しておきたいと思います。
そして記事の後半では、2026年年明け早々に動き出した「最新の状況」についても少し触れます。
1. 「子供のために残す」は親のエゴかもしれない
最初に考えたのは、正直なところ「子どもたちに残しておいた方がいいのか?」ということでした。
うちには息子が二人います。
だったら、どちらかが将来ここを使う可能性もゼロじゃない。
そう思って、
- いずれ家族を持ったときの拠点になるかもしれない
- 「帰る場所」としての実家がある安心感を与えたい
そんな“親心”のような期待も、頭のどこかにはありました。
正直に言えば、母の家は、暮らしの便利さだけで見れば悪くない場所です。
買い物に行くときの距離。
行政手続きに行くときのラクさ。
そういう“暮らしの便利さ”だけで比べたら、「残しておいて誰かが使ってもいいんじゃないか」という考えが頭をよぎるのも自然でした。
でも、冷静になって息子たちの現実に目を向けると、少し違う風景が見えてきます。
二人とも、進学や就職の軸足は「都内寄り」になりそうです。
大学も都内、仕事もおそらく一つの地域に縛られない。
これからの働き方を考えると、勤務地もライフスタイルも、昔よりずっと動きやすい世代だと思います。
そんな彼らにとって、郊外の実家は「資産」になるのか、それとも「足かせ」になるのか。
「子どものために」と残したつもりが、実際には誰も住まずに、ただ古くなっていく家を、遠くから管理し続けることになるかもしれない。
- 固定資産税は、すでに自分名義になった以上、毎年かかってくる
- 草木の手入れや近所への迷惑も気にしないといけない
- 台風や地震のたびに様子を見に行く不安もある
それを、将来の二人に背負わせたいのか?と自分に問い直したとき、胸の中で、そっと答えが変わっていきました。
「形としての“家”を残すより、ちゃんと整理してお金に替えておく方が、結果的に身軽でいられるはずだ」
古い家を維持し続けることには、手間もコストもかかり続けます。
それならば、きれいさっぱり売却をして「現金」という扱いやすい資産に形を変えておく。
それが、親としてしてやれる一番のリスク管理であり、子供たちの将来を縛らないための選択だと思えるようになりました。
2. 隣の土地が教えてくれた「資産価値」の現実
もうひとつ、僕の背中を強く押した光景があります。
それは、実家の隣の土地の「変化」でした。
隣の家も、少し前に空き家になり、売りに出されていました。
そして久しぶりに見に行くと、そこには真新しい建売住宅が「2軒」建っていたのです。
「そうか、この広さなら2区画に割れるのか」
その現実を見たとき、実家の見え方が変わりました。
今のままなら、ただの「古い家が建っている土地」です。
でも、更地にして区画を割れば、「新しい家族が2世帯暮らせる場所」に生まれ変わる。
不動産屋の社長に「隣のようにうちも2区画に割って売れますか?」と聞いたとき、「土地の面積を見ると行けると思いますよ」と即答をもらえたこと。
これが決定打になりました。
需要があるうちに、次にバトンを渡す。
それが、街にとっても、僕にとっても一番健全な形なのだと腑に落ちた瞬間でした。
※私の実家のように、建物が古くても「土地」としての価値が眠っているケースは多いです。「うちはどうだろう?」と思ったら、まずは机上査定で可能性を探ってみるのも良いかもしれません。
ミライアスで無料査定を依頼してみる3. 「3,000万円特別控除」というタイムリミット
そして最後は、やはりお金と制度の話です。
実家を売却するにあたって、僕が絶対に活用したいと思っていた制度があります。
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
いわゆる、空き家の3,000万円特別控除です。
細かい要件はいろいろありますが、ざっくり言えば
「相続した空き家を売って利益が出ても、3,000万円までは税金がかからないようにしてあげるよ」
という、非常に強力な制度です。
これを使えるのと使えないのとでは、手元に残るお金が数百万円単位で変わってくる可能性があります。
ただ、この制度には期限があります。
「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却しなければならない。
さらには、耐震基準を満たすか、更地にして渡すなどの条件もある。
「いつか売ればいいや」とのんびり構えていると、この大きな控除を使えるチャンスを逃してしまいます。
父が亡くなったときは母が住み続けましたが、今回はもう誰も住みません。
ならば、この制度が使える「今」こそが、売り時なのだと判断しました。
【追記】2026年、年明け早々の進展
こうして売却を決意し、年末に不動産屋へ依頼をしたわけですが、年が明けて早々、さっそく動きがありました。
2026年の仕事始め直後、社長から携帯に電話が入っていたのです。
仕事中で出られなかったため、翌日こちらから折り返すと、社長の声は明るいものでした。
「業者(建売用地として買う業者など)に話をしてみたところ、手応えありましたよ」
やはり、隣の土地と同じように、需要はあるようです。
そして、こう提案されました。
「もしよろしければ、区画を割るための測量をしてもよろしいでしょうか?
家の周りで作業することになりますけれども。」
もちろん、断る理由はありません。
「お願いします」と承諾しました。
まだ正式な契約書を交わす前だったので、少し気になって「契約はいつ頃すればいいですか?」と尋ねてみました。
すると社長は、
「すぐでなくても、ご都合のよい時で問題ありませんよ」
と、こちらのペースを尊重してくれました。
ガツガツと急かしてこないあたりに、改めて「この人に頼んでよかったな」という安心感をおぼえました。
実家じまいは、まだ始まったばかり。
でも、着実に前へ進んでいます。
残る最大の壁は、家の中に残された大量の「残置物」です。
ゆくゆくはは、この残置物との戦いについて書くこととなります。
これから売却を考える方へ
僕は運良く地元の不動産屋さんと縁がありましたが、
もしツテが一切ない状態でスタートするなら、
まずは「自分の家の適正価格」をネットで調べてから動くと思います。
何も知らずに相談に行って、安く買い叩かれるのだけは避けてくださいね。




