アサヒ ザ・ビタリスト実飲レビュー|“苦味×キレ”の到達点。ホップと318号酵母が描く新・辛口ラガー

クラフト以外で一番好きな銘柄はどれか。そう聞かれたら、今の自分は迷わず「アサヒ ザ・ビタリスト」と答える。発売初週、仕事明けにコンビニで350ml缶を手に取り、よく冷やしたグラスに注いだ瞬間の香りを、いまだに覚えている。
苦味は鋭いのに、後味はスッと消える。矛盾を同居させたような辛口ラガーだ。

目次

アサヒ ザ・ビタリストとは|成り立ちとコンセプト

アサヒビールが2025年4月15日に発売した、スタンダード価格帯の新ブランド。7年ぶりの新シリーズで、キーワードは「爽快な苦味」と「スッキリした後味」。
商品名のBITTER-ISTは「苦味を愛する大人」への敬意を込めた造語だという。
ホップはタラスとヘルスブルッカーの一部使用、キレを生む酵母は「318号」。
缶は黒地に金の“Asahi”ロゴが270度回り込む大胆デザインで、棚でも一瞬で見つかる。

購入メモ|一次情報

初回はローソンで350ml、実売およそ240円前後。自宅冷蔵5℃で1時間冷やし、薄肉のタンブラーへ勢いよく注いで炭酸を立て、泡を整える注ぎ足しは1回。2回目は500ml缶を9℃まで温度を上げ、香りの出方を比較した。
温度で表情差が大きい。低温はキレ先行、高めはホップの柑橘皮ニュアンスが前面に出る。

外観|グラスに注いだ表情

やや濃い黄金色。泡はきめ細かく持続は中程度。炭酸の立ち上がりは力強いが、口中では暴れず整う。

アサヒ ザ・ビタリストの缶 正面 黒地に金のAsahiロゴを近接撮影
黒地×金ロゴの強い意匠。棚で迷わない。

香り(アロマ)

立ち香はホップ由来の柑橘皮、軽いグラッシーさ。時間経過でオレンジピール〜白い花。
モルトは控えめでクリーン。

味わい(パレット)

ひと口目から「ガツン」と来る苦味。だが雑味は少なく、舌の上で旨味のコアを残してスッと抜ける。
副原料の米・コーン・スターチが軽さとキレに寄与しつつ、6%のアルコールがボディを痩せさせない。
結果、苦味とキレの両立という矛盾が成立する。

質感(テクスチャー)と余韻

発泡は中〜やや強、当たりはシャープ。口中の収束が早く、余韻は短〜中。
苦味の骨格だけが細い線で残り、次の一口を催促する。

適温とグラス

おすすめ温度は5〜8℃。5〜6℃はドライ志向、7〜8℃はホップ香志向。
グラスはパイント(ノニック)か小ぶりのチューリップ。泡を1.5〜2cm残し、香りを引き上げる。

ペアリング提案(すべてコンビニで揃う)

  • ホットスナック:フライドチキン(プレーン)|衣の油分を苦味が断ち、キレで後味を軽くする。
  • 炭火焼き鳥(塩・もも/皮)パック惣菜|焦げ香と塩味がホップの柑橘皮ニュアンスと共鳴。
  • スモークチーズ|燻香とミルクのコクを苦味の骨格が支え、飲み進めても重くならない。
  • ポテトチップス(うすしお)|塩味と油分がキレを映す鏡になり、苦味の輪郭がよりシャープに。

スペック表

商品名アサヒ ザ・ビタリスト(THE BITTER-IST)
スタイルピルスナー系ラガー(辛口)
アルコール度数6%
原材料麦芽ホップ、米、コーン、スターチ
使用ホップTalus(タラス)、Hersbrucker(ヘルスブルッカー)一部使用
酵母318号酵母(キレの設計)
苦味指数IBU非公開(体感は高め)
発売日2025年4月15日
容量350ml / 500ml(缶)
メーカーアサヒビール株式会社(日本)
実売価格店舗により異なる(参考:350mlで200円台中盤)

甘辛・濃淡チャート(ビールver.)

横軸=甘み↔ドライ、縦軸=ライト↔フルボディ。
本品は「ドライ寄り×ミディアムフル」。

甘み ドライ ライト フル THE BITTER-IST

香味レーダーチャート(ビールver.)

軸=ホップ香/麦芽コク/苦味/キレ/余韻。5段階評価。
ホップ香4、麦芽コク3、苦味4.5、キレ5、余韻3.5のバランス。

ホップ香 麦芽コク 苦味 キレ 余韻

ビールとしての立ち位置|誰に刺さるか

香りはクラフトほど華やかに振らず、あくまで標準価格帯の「毎日の一杯」を想定。
それでいて苦味はしっかり。スーパードライの“キレ”が好きで、もう少しホップの表情が欲しい人に刺さる。
平日の帰宅後、食中に強い。

モイの〆酒評

苦味を主役に据えつつ、キレでフィニッシュを美しく整える
「苦い=重い」を覆す軽快さが、次の一口を呼ぶ。
クラフトの華やぎとは別物だが、日常の辛口ラガーとしては一級。
常備枠に堂々エントリー。


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写真(オリジナル)

アサヒ ザ・ビタリストの缶とグラスを並べた写真 黄金色の液面と泡立ちが見える
缶×グラスの定番ショット。泡はきめ細かい。

アサヒ ザ・ビタリストの液面クローズアップ 泡と炭酸の立ち上がり
液面の泡粒と炭酸の立ち上がり。香りの立ち方もイメージできる。

アサヒ ザ・ビタリストをテーマにした四コマ漫画 解説入り
四コマで要点おさらい。ホップ設計と酵母318号の話題も。

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