酒にまつわる語を五十音で引ける「酒語辞典」のマ行ページです。
日本酒の酒造り用語からビール工程・ホップ名、ワインの概念・品種、銘柄・水質・提供まで横断収録。
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索引(マ行)
ま(マ)
- 磨き(みがき)〈酒造工程/精米〉
- 精米により外層を削ることの総称。
タンパク・脂質の多い外層を除き雑味低減・繊細さを狙う。高精白は歩留まり低下とコスト増。
【関連】精米(参照:セ行)/精米歩合(セ行)/吟醸造り(共通) - 蒸し(むし)〈酒造工程〉
- 米を甑で蒸してデンプンをα化。
外硬内軟のテクスチャーが麹造り・溶解に直結。蒸気量・時間・放冷が要点。
【関連】甑(参照:コ行/カ行)/麹(共通) - マッシュ(mash)〈ビール工程〉
- 糖化工程の総称。
温度帯・時間・pHによりβアミラーゼ/αアミラーゼ活性の配分が決まり、発酵度・ボディが規定される。
【関連】マッシュpH/マッシュアウト/マッシュタン/インフュージョン(ア行)/デコクション(タ行) - マッシュpH(最適帯)〈分析/ビール〉
- 一般に5.2–5.6(20℃換算)を目安。
酵素活性・渋味抽出・色・ホップ等の挙動に影響。酸(乳酸等)や水処理で微調整。
【関連】クエン酸(ク行/カ行)/水名・水質(共通) - マッシュアウト(mash out)〈ビール工程〉
- 糖化終盤に温度を上げ酵素活性を止め、濾過性を高める操作。
過熱は渋味・色度上昇のリスク。
【関連】キルン(カ行参照)/スタビリティ(サ行参照) - マッシュタン(mash tun)〈設備〉
- 糖化槽。
攪拌・加熱・濾過機構の設計で歩留まりと清澄が変わる。
【関連】マッシュ - マグネシウム(Mg)〈水質/醸造〉
- 酵母栄養素・硬度要因。
過多は苦味・収斂に接続することがあり、水質バランス設計が重要。
【関連】水名・水質(共通) - マルトース〈成分〉
- 発酵主糖の一つ。
βアミラーゼ活性により生成、発酵度とボディを規定。
【関連】マルトトリオース/発酵度(ア行) - マルトトリオース〈成分〉
- 酵母株により代謝性が異なる三糖。
残糖・口中質感に寄与。ラガー酵母は代謝性が高い傾向。 - マセラシオン〈ワイン技法〉
- 果皮浸漬の総称。
赤:色素・タンニン抽出、白:スキンコンタクトによりテクスチャー付与。温度・時間・攪拌がコントロール点。
【関連】スキンコンタクト(サ行)/テルペン(タ行) - マロラクティック発酵(MLF)〈ワイン工程〉
- リンゴ酸→乳酸+CO₂。
酸の緩和・口当たりの滑らかさ・ダイアセチル生成管理が要点。白(シャルドネ等)や赤のスタイル設計に不可欠。
【関連】マロラクティック菌/ダイアセチル(タ行) - マロラクティック菌〈微生物/ワイン〉
- MLFを担う乳酸菌(代表:Oenococcus oeni)。
pH・SO₂・温度耐性、栄養(アミノ酸・ビタミン)管理が肝。意図しない早期MLFや生残は還元・揮発酸のリスク。 - マール(Marc)〈蒸留酒〉
- 圧搾後の搾り滓(果皮・種)由来の蒸留酒。
グラッパに相当する仏語圏表現。 - マデイラ(Madeira)〈ワイン/酒精強化〉
- 加熱・酸化熟成(エストファージェン)によりナッツ・カラメル・酸の張り。
ソレラや樽熟と併用。 - マルサラ(Marsala)〈ワイン/酒精強化〉
- 伊シチリアの酒精強化。
色・熟成段階で分類。酸化的熟成が鍵。 - マンダリナ・バヴァリア(Mandarina Bavaria)〈ホップ〉
- 柑橘(みかん)~トロピカルのアロマ。
レイト/ドライホップで個性が映える。 - マグナム(Magnum)〈ホップ〉
- 高アルファ酸のクリーンな苦味付与用。
ベース苦味の設計に向く。 - マルサンヌ(Marsanne)〈ワイン/品種〉
- ローヌ白の要。
梨・ハチミツ・アーモンド、酸は穏やか。樽・MLFとの相性。
み(ミ)
- 無濾過(むろか)〈清澄/スタイル〉
- 濾過を省略または最小限に留める設計。
旨味の厚みとフレッシュ感を残す一方、安定性や香味のばらつきに留意。
【関連】清澄(共通)/火入れ(共通) - 無加水(原酒)(むかすい/げんしゅ)〈スタイル〉
- 割水を行わない(または極小)酒。
ボディ・甘旨・アルコールの厚みが前面に出る。供出温度のチューニングが鍵。
【関連】度数(ABV:共通) - もろみ(醪)〈酒造工程〉
- 主発酵中の混合物。
温度・溶解・撹拌・泡管理が香味に直結。
【関連】三段仕込み(カ行/サ行参照)/一次発酵(ア行) - 水酛(みずもと)〈酒造工程〉
- 古式の酛。
穀物・水・自然乳酸菌の遷移を待ち酸性化してから仕込む。複雑味と酸骨格を形成。
【関連】そやし水酛(サ行)/酒母(サ行) - 美山錦(みやまにしき)〈酒米〉
- 長野発祥の代表酒米。
心白はやや小、割れにくく精米適性良好。クリアな香味と伸びのある酸で食中に好適。
【関連】精米歩合(セ行)/純米吟醸(シ行) - 美郷錦(みさとにしき)〈酒米〉
- 秋田系。
キレと骨格に寄与し、吟醸設計とも相性。 - ミネラル(mineral)〈水質/評価語彙〉
- 水質:硬度(Ca/Mg)、陰イオン(HCO₃⁻等)で発酵挙動を規定。
評価:石や塩味のニュアンス比喩として用いられる。
【関連】水名・水質(共通) - ミネラルバランス〈水質設計〉
- クロライド/サルフェート比やHCO₃⁻量の調整。
ホップの出方・ボディ・キレを制御。 - ミクロオキシジェナシオン(micro-oxygenation)〈ワイン技法〉
- 樽外環境で微量酸素を段階供給。
タンニン重合・色安定・還元矯正の設計ツール。過多は揮発酸・酸化のリスク。 - 微生物相(びせいぶつそう)〈分析・品質管理〉
- 発酵場に存在する微生物の群集。
次世代シーケンス等で動態把握し、酸・SO₂・温度・清掃で望ましい方向へ誘導。 - ミード(mead)〈発酵酒〉
- 蜂蜜由来の醸造酒。
酸添加・果実・樽利用などでスタイル多様。 - ミュンヘンモルト(Munich)〈モルト〉
- パン・トースト・メラノイジン由来の芳香。
べースに対し数十%でボディと色を付与。
む(ム)
- 無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)〈スタイル/日本酒〉
- 無濾過+生+無加水の三条件。
フレッシュ・厚み・還元傾向の管理(温度・DO・充填)が肝。
【関連】無濾過/火入れ(共通)/溶存酸素(DO:共通) - ムニエ(Meunier/Pinot Meunier)〈ワイン/品種〉
- シャンパーニュ三品種の一角。
赤果実・丸み・初期飲みの親和性。 - ムールヴェードル(Mourvèdre/Monastrell)〈ワイン/品種〉
- 黒果実・スパイス・野性味。
温暖で真価、GSMブレンドの要。 - ムスカデ(Muscadet/Melon de Bourgogne)〈ワイン/産地〉
- 仏ロワール。
海風・花崗岩土壌由来の塩味・直線的酸。シュール・リーが鍵。
【関連】シュール・リー(シ行)
め(メ)
- メイラード反応(Maillard)〈化学/香味形成〉
- 糖とアミノ化合物の反応群。
焙煎・キルン・加熱で進行し、トースト・カラメル・ナッツ様の骨格を形成。
【関連】ミュンヘンモルト/メラノイジン - メラノイジン(melanoidin)〈化合物群〉
- メイラード由来の高分子褐色色素。
色度・ボディ・抗酸化能に寄与。過多は重さにつながる。 - メタリック(metallic)〈欠点表現〉
- 鉄・銅由来の金属様味・渋味。
設備由来・水質・酸化状態などが原因。 - メトキシピラジン(MP)〈香味成分〉
- ピーマン・青草様。
ソーヴィニヨン・ブラン/カベルネ系で要因。収穫時熟度や樹勢管理で調整。 - メルカプタン(mercaptan)〈香味成分/欠点〉
- 硫黄系のオフフレーバー(メタンチオール等)。
還元環境・栄養不足・酵母ストレスで生成。銅処理や酸素管理で対策。ソムリエ審査でも重大欠点。 - メルロー(Merlot)〈ワイン/品種〉
- 黒果実・プラム・滑らかなタンニン。
樽・MLFと相性。右岸ボルドーの主力。 - メルツェン(Märzen)〈ビール/スタイル〉
- 琥珀~銅色のラガー。
トースト・クリーン発酵・穏やかな苦味。
も(モ)
- もっきり〈提供文化/酒器〉
- 枡にコップを置き、なみなみ注いでこぼす提供様式。
豪快さ・お得感の象徴。酒の香気拡散・温度上昇にも影響。
【関連】盃(ハ行)/サービング温度(サ行) - マウスフィール(mouthfeel)〈テイスティング用語〉
- 口中質感の総合評価。
粘性・炭酸刺激・タンニン収斂・温度・アルコール熱感・泡質・グリセリン等の統合印象。
SAKE Diploma/ソムリエ試験でも頻出。 - モジュレーション(modulation)〈ブレンディング設計〉
- ロットや原料の個性を相互補完し、狙いの輪郭・複雑性へ微調整する設計思想。
日本酒の調合、ワインのアッサンブラージュ、ビールのホップレイヤリングに共通。 - もやし(種麹)(もやし/たねこうじ)〈原料/製麹〉
- 麹菌の種。
胞子密度・付着性・酵素プロファイルで製麹の立ち上がりが決まる。
【関連】麹(共通) - モルティング(malting)〈製麦〉
- 浸麦→発芽→焙燥(キルン)。
酵素賦活と香味骨格の構築。温湿度制御が肝。 - モスカート・ダスティ(Moscato d’Asti)〈ワイン/微発泡〉
- 伊ピエモンテの微発泡甘口。
低アルでマスカットの華やかさ。 - モンテプルチアーノ(Montepulciano)〈ワイン/品種〉
- イタリア中部。
黒果実・ハーブ・厚み、食事向き。 - 真澄(ますみ)〈銘柄/酒蔵〉
- 長野・宮坂醸造。
透明感のある食中設計で知られる。 - 澤屋まつもと(さわやまつもと)〈銘柄/酒蔵〉
- 京都・松本酒造。
水・米起点のテロワール志向で注目。
共通・補助項目(参照)
- 吟醸造り〈酒造工程〉
- 高精白・低温長期で華やかさと滑らかさを引き出す設計。
- 麹(こうじ)〈酒造工程〉
- 米に糖化力を与える基幹工程。香味の土台。
- 精米〈酒造工程〉
- 米表層を削る工程。外硬内軟の製麹や吟醸設計に直結。
- 精米歩合〈分析値・指標〉
- 米をどれだけ磨いたかの指標。香味の繊細さ・雑味低減・歩留まりに関与。
- 溶存酸素(DO)〈品質管理〉
- 酸化・劣化の主要ドライバー。瓶詰・樽詰・移送時の最小化が肝。
- 度数(ABV)〈分析値・指標〉
- Alcohol by Volume(容量%)。温度・計測法・炭酸の有無で読み替え注意。
- シュール・リー〈熟成技法/ワイン〉
- 澱接触で旨味・ボディ・還元的保護を付与。バトナージュ頻度設計が鍵。
- サービング温度〈提供設計〉
- 供出時の最適温度。スタイル別に適温帯が異なる。
- 水名・水質〈水質〉
- 地域水系の硬度・ミネラル特性は香味へ直結。軟水/硬水設計は発酵挙動にも影響。
収録(一覧・キーワード)
【日本酒(ま行抜粋)】磨き/蒸し/無濾過/無加水(原酒)/もろみ/酛(酒母)/水酛/真澄/澤屋まつもと/もやし(種麹)/もっきり ほか。
【酒米】美山錦/美郷錦 ほか。
【ビール(ま行抜粋)】マッシュ/マッシュpHの最適帯/マッシュアウト/マッシュタン/マイボック/メルツェン/ミュンヘンモルト/モルティング/Mandarina Bavaria/Magnum/マウスフィール ほか。
【ワイン(ま行抜粋)】マセラシオン各種/マロラクティック発酵/マロラクティック菌/マール/マデイラ/マルサラ/ミクロオキシジェナシオン/メトード各種/メトキシピラジン/メルロー/ムニエ/ムールヴェードル/ムスカデ/モスカート・ダスティ/モンテプルチアーノ/マルサンヌ/ムートン・ロートシルト/メルカプタン/モジュレーション ほか。
【横断・成分・水質】マグネシウム(Mg)/マルトース/マルトトリオース/ミネラル/ミネラルバランス/メイラード反応/メラノイジン/メタリック/ミディアムボディ/ミード/メスカル/微生物相 ほか。
編集ノート(運用ルール)
- 用語は随時増補。各見出しは固定IDで内部リンク安定運用。
- 将来、各項目に写真・代表銘柄・ペアリング・参考文献を追記。
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