熱海の「伊豆半島合同会社 / 熱海ミニ横丁」で出会った、十四代「槽垂れ 本生 純米吟醸」。
グラスを近づけるだけで、メロンや洋ナシを思わせる華やかなアロマがふっと立ちのぼる。
ひと口でジューシーな甘みがほどけ、やわらかな酸が輪郭を整え、控えめなビターが後味を締める。
生酒のフレッシュさと十四代らしい“品”が同居する、完成度の高い一本でした。

熱海の伊豆半島合同会社/熱海ミニ横丁にて、枡こぼしのグラスで。2025年4月26日撮影。
酒造りの背景
銘酒「十四代」を手がけるのは山形県の高木酒造。
「槽垂れ 本生」は、搾りの工程で槽(ふね)から自然に滴り落ちる雫をそのまま生詰めした贅沢仕様です。
火入れをしない生酒ならではの瑞々しさと、十四代らしい上質なバランスが魅力。
外観
きらりとした透明感。
グラスの脚に沿う細かなティアーズがゆっくり落ち、適度な粘性も感じられます。

十四代 槽垂れ 本生の金色キャップ、枡や酒肴が並ぶテーブルとともに(2025年4月26日)。
香り(アロマ)
メロン、洋ナシ、白い花。
開栓直後からふわりと立ち上がるフルーティーな香りが印象的で、生酒らしいフレッシュさが際立ちます。
味わい(パレット)
口に含むと、みずみずしい甘みがすっと広がります。
すぐにやわらかな酸が輪郭を整えるため、べたつきは皆無。
中盤にごく控えめなビターが現れ、全体をきりりと引き締めます。
雑味がなく、終始エレガントな構成。
質感(テクスチャー)
口当たりはシルキーで、滑らかに喉を流れます。
余韻の入り口でほんの少し張りを残しつつ、清潔感のあるキレへ移行。
余韻(フィニッシュ)
甘みの名残と微細なビター、そしてクリアなキレが同心円状に広がります。
余韻は中程度〜やや長め。香りの記憶が心地よく滞在します。
適温と酒器
8〜10℃の冷酒がベスト。
香りを引き寄せるため、うすはりのワイングラスがおすすめです。
おすすめペアリング
- 白身魚の刺身(ヒラメ、鯛)……繊細な甘みを壊さず、うまみのレイヤーを足します。
- カプレーゼ……ミルキーなモッツァレラとトマトの酸が酒の輪郭に同調。
- だし巻き卵……出汁の甘みと相思相愛。余韻の軽いビターが後味を整えます。
どこで飲んだ? いくらだった?(一次情報)
飲酒日は2025年4月26日。
熱海の「伊豆半島合同会社 / 熱海ミニ横丁」にて”もっきり”で試飲しました。
参考価格は一合約3,000円(720ml)。
入手難度が高いプレミア酒のため、信頼できる飲食店のバイザグラス提供を狙うのも有効です。
スペック表
銘柄 | 十四代 槽垂れ 本生 純米吟醸 |
---|---|
蔵元 | 高木酒造(山形県) |
特定名称 | 純米吟醸 |
精米歩合 | 50% |
使用米 | 詳細非公開(山形県産米の可能性) |
アルコール度数 | 16% |
日本酒度 | 非公開 |
酸度 | 非公開 |
価格(参考) | 5,000円(720ml) |
甘辛・濃淡チャート
香味レーダーチャート
ボトル裏ラベル & 認証ステッカー

保管方法の注意と「製造年月より3ヶ月以内」の飲用推奨が読み取れる裏ラベル。熱海の伊豆半島合同会社/熱海ミニ横丁にて撮影(2025年4月26日)。
評価
- 香り:★★★★★
- 味わい:★★★★★
- コスパ:☆☆☆☆☆
- 総合評価:★★★☆☆
モイの〆酒評
華やかさとジューシーさが見事に両立。
生酒の瑞々しさを、過度な甘さやアル感に傾けず“品”でまとめるのが十四代です。
入手は難しく価格のハードルもある。
それでも一度グラスを傾ければ「なるほど」と頷く説得力がある。
記憶に残るのは、甘みでも酸でもなく〈余韻のバランス〉。
熱海の夜風とともに、静かに忘れがたい一杯でした。
購入のコツ
地酒専門店の入荷情報をこまめにチェックし、抽選や会員優先案内を活用しましょう。
飲食店でのバイザグラス提供に出会えることもあるため、日本酒に強い店をリスト化して巡回するのが近道です。
他銘柄との比較(同系統の体験軸)
- 「フルーティー×ジューシー×上品」軸では、而今の特定ロットや新政の一部生酒と比較が楽しい。
十四代は香りの伸びと余韻の均整で一歩リードします。 - 「甘みの質感」軸では、甘やかでもベタつかない“軽やかな甘み”が特徴。
スイート寄りが苦手な方にもすすめやすいバランスです。
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