ひと口で、すっと心がほどける。
佐賀・有田の地で生まれた「宗政 純米吟醸」は、華やかさではなく“清らかさ”で魅せる一本です。
本記事では、蔵の歴史・仕込み水・酒米という背景から、実飲レビュー、ペアリング、価格情報まで“使える情報”を一気通貫でお届けします。
蔵の歴史
宗政酒造は1985年に創業。
2002年には本社工場を有田ポーセリンパーク内へ移転し、酒と器が響き合う“観光酒蔵”としての歩みを進めています。
比較的若い蔵ながら、佐賀酒の新しい顔として存在感を築いてきました。
仕込み水
仕込みに用いるのは、佐賀の名峰・黒髪山系の伏流水。
硬度わずか14の軟水で、やわらかく透明感のある酒質を生み出します。
「宗政」の穏やかな口当たりと“するり”とした喉越しは、この水の恩恵です。
酒米(原料米)
佐賀県産の酒米を重視し、山田錦やさがの華を使用。
地の水と地の米が共鳴し、やさしくもしっかり骨格のある味わいを描きます。
外観
グラスに注ぐと、淡い黄金色がきらめく。
澄んだきらめきは、川面の光の粒のよう。
ボトルは凛としてミニマル、食卓に静かに溶け込みます。
香り(アロマ)
梨や白桃を思わせる穏やかな吟醸香。
控えめで、料理の香りを邪魔しない上品さ。
立ち上がりはおだやか、時間とともにほんのり甘やかなニュアンスが顔を出します。
味わい(パレット)
口に含むと、やわらかな米の旨みが舌に寄り添う。
軽やかな酸が輪郭を整え、すっきりとしたバランスで広がります。
派手さではなく、日々の食卓に寄り添う実直な味わい。
質感(テクスチャー)
舌触りはなめらかで、角がない。
軟水仕込みならではのしっとり感が心地よく、杯が自然と進む。
余韻(フィニッシュ)
軽やかな酸がすっと引き、清流のような後味。
余韻は短めで、次のひと口と料理へスマートに橋渡ししてくれます。
適温と酒器
冷酒10℃前後〜常温がおすすめ。
冷やせば透明感、常温では米由来の旨みがふくらむ二段構え。
ワイングラスで香りを拾うか、平盃で日常に溶け込ませるかはお好みで。
おすすめペアリング
- 鯖・鮭の塩焼き|脂を爽やかに受け止め、後味をクリアに。
- 冷奴・湯豆腐|だしの旨みと上品な甘みが寄り添う。
- 鶏むね肉の梅しそ巻き|やさしい旨み×酸の相性が良好。
- だしを効かせた煮物・吸い物|“だし系”との親和性は特に高い。
スペック表
蔵元 | 宗政酒造(佐賀県西松浦郡有田町) |
---|---|
銘柄 | 宗政 純米吟醸(-15) |
使用米 | さがの華・山田錦(佐賀県産) |
精米歩合 | 55% |
アルコール度数 | 15% |
日本酒度 | -15(甘口寄り) |
酸度 | 1.6 |
参考価格 | 720ml 税込1,552円(公式) |
タイプ | 純米吟醸/食中バランス型 |
甘辛・濃淡チャート
香味レーダーチャート
実飲メモ(一次情報)
自宅でテイスティング。
冷酒約10℃→常温へ温度帯を変えながら、湯豆腐・塩鮭・だし巻き卵と合わせて検証。
冷酒では透明感と果実香がすっと立ち、常温域では米の旨みがふくらみ、だし系の塩味・旨味と心地よく重なりました。
購入のコツ(特定店舗名なし)
蔵元公式オンラインショップ、地元の酒販店、一般的なオンライン通販で入手可能。
公式価格の目安は四合瓶(720ml)で税込1,552円。
冷酒中心で飲むなら二本買いして回転させると、香りのピークを逃しにくいです。
他銘柄比較(選び分けのヒント)
同じ佐賀の「東一 純米吟醸」と比べると、宗政はより軽やかで寄り添う味わい。
「鍋島 純米吟醸」と比べれば控えめで、日常の食卓向きの落ち着きが持ち味。
“華やぎ”より“清らかさ”を求める日に選びたい一本です。
モイの〆酒評
きっぱり言うなら、清らかさの美学。
黒髪山の軟水と佐賀米が描くやさしい余韻は、和食の横で静かに微笑む。
“また食卓で会いたい”と思わせる、誠実な純米吟醸です。
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