【軽井沢】まるで美術館。圧倒的な静寂と美の連続、そして1104号室へ
エントランスをくぐると、ユンがサロンのソファで待っていた。
床から壁、椅子やテーブル、天井の装飾に至るまで、すべてが重厚感あるしつらえ。
それでいて、ここには圧倒的な静けさがある。
ただただ、驚きを隠せない。
内心はキョロキョロと見渡したい衝動に駆られながらも、
「キョロキョロしてない風」
を装ってソファへ座るのが一苦労だ(笑)
目の前には巨大な暖炉が鎮座している。
グラスには、冷えた体をホッとさせてくれる温かなウェルカムカリン茶を入れてくれていた。
ユンが教えてくれる。
「エントランス入ったら、バトラーさんがソファに案内してくれて『チェックインどうなさいますか?』って聞いてきたから、『夫がいま来ます』って伝えたよ」
良くやってくれたユン、チェックインは僕がするよ。
程なくしてバトラーさんが丁寧な自己紹介をしてくれたので、僕はこう伝えた。
「念願のサンクチュアリヴィラへ初めてきました。どうぞよろしくお願いします」
その後、簡単な館内説明と「何かあればお伝えください」との言葉をいただき、僕らはさっそく部屋へ向かうことにした。
ここで僕は一つ、気になったことがあった。
サロンのことだ。
サロンの使い方を聞いていない。
ネットの情報によると、ここは各自自由に使えるラウンジのような扱いだった……よな?
特に説明が無かったということは、僕の予約プランでは使えないのだろうか?
ま、今はまず部屋へ向かおう。
とりあえず後で、しれっとコーヒーでも淹れに来てみるか。
おお、素晴らしい鏡台とランプ。
不思議なもので、この絢爛な鏡で自分の姿を見ると、なんだか風格ある大人の男に見えてきて自信が出てきた(笑)
僕らの歩く、ふかふかの絨毯の音だけが響く館内。
落ち着いた柄の絨毯が敷かれた廊下を進むと、窓からの陽光が明るく迎えてくれている。
エレベーターホールごとにも、必ずハッとさせられる見どころがある。
こちらに飾られているのは、重厚なアンティーク調のコンソールテーブルに設えられた、洗練されたガラスボウルとクラシカルな風景画。
まるで、海外の美術館を歩いているかのような錯覚に陥る。
そして、天然大理石で縁取られたエレベーター。
エンペラドール・ダークのような、深みと複雑な模様を持つブラウン系の石材が使われており、ステンレスの扉に施されたエレガントなエッチング加工と見事に調和している。
とても美しい。
ただの移動手段でしかないエレベーターにすら、美意識が貫かれているのだ。
エレベーターに乗り込み、一つ下がる。
ここでおもむろに手元の鍵を確認すると、本革のキーホルダーにはしっかりと、
SANCTUARY VILLA
と型押しされている。
前回本館に泊まった時は、たしか「XIV」のロゴだったような……。
自分たちが今、特別な場所にいることを再認識させてくれる、なんとも心くすぐる憎い演出だ。
エレベーターを出ると少し照明が落ち、またグッと雰囲気が変わる。
エレベーターホールに置かれていたのは、シノワズリ(東洋趣味)の意匠を感じさせる、漆黒に金彩が施された豪奢な小物入れ。
本当に、別の国に来てしまったようだ。
こちらにも……。
壺や器、椅子やテーブルなど、美術価値のありそうな調度品が一体どれだけあるのだろうか。
それにしても、置いてあるもののデザインが秀逸すぎる。
うちにあったら……。
いや、我が家は物が多く生活感に溢れているので……逆に狭く感じてしまい、そのうち物置の隅にポンと置かれてしまいそうだ(苦笑)
こういうものは、サンクチュアリヴィラのこの空間で楽しむのが一番良い。次は連泊して、この館内美術ツアーだけで1日過ごしてみたいと本気で思った。
廊下の曲線に合わせて、上品なテーブルとチェアが配置されている。
空間の使い方が本当に贅沢だ。
静かな廊下を、ゆっくりと進む。
さて……そろそろ到着かな……。
期待で自然と歩幅が大きくなるのを抑えながら、最後の角を曲がる。
着いた。
今日の部屋、1104号室。
ようやく来た、サンクチュアリヴィラ軽井沢。
実は始め、エクシブ山中湖を予約していたのだが、直前でこちらに空きが出たのを確認し、急遽変更して滑り込んだのだ。
本当に楽しみで仕方ない。
そして……
事前にこっそりホテルにお願いしておいた、僕のあの……あれは……。
(実は、簡単なホワイトデーのサプライズを事前にお願いしてあります)
焦る気持ちをグッと抑え、静かに鍵を開け、ドアノブに手をかける。
よし、入ろう。
(次回、いよいよ1104号室の全貌と、サプライズの結果編へ続く…)



