ONSEN SOMMELIER × MOHILOG
静かな湯に、
よう素という個性。
硫黄泉のような強い香りも、炭酸泉のような泡もないかもしれない。
でも温泉分析書を読むと、そこには「よう化物イオン」の文字。
含よう素泉は、知るほど面白くなる泉質です。
30 SECOND GUIDE
含よう素泉を、30秒で。
「含よう素泉って、どんな温泉?」
まずはここだけ読めば大丈夫です。
温泉水1kg中に、
よう化物イオンを10mg以上含む療養泉。
非火山性の温泉に多く、
時間の経過とともに黄色みを帯びる湯もあります。
※色や香りは、よう素だけでなく塩化物など共存する成分や湯使いによっても異なります。
なぜ珍しい? なぜ昔の温泉本では見かけない?
ここから少しずつ、含よう素泉の中身へ。
ABOUT IODINE SPRING
そもそも、含よう素泉とは?
含よう素泉とは、
温泉水1kg中によう化物イオンを10mg以上含む療養泉です。
泉質名では、
「含よう素-ナトリウム-塩化物泉」などと
表示されることがあります。
硫黄泉や酸性泉ほど名前を聞く機会は多くありませんが、
現在の療養泉10分類のひとつです。
温泉そのものには少量のよう化物イオンが含まれる場合がありますが、 含よう素泉として分類されるには、 療養泉として定められた基準を満たす必要があります。
A NEW MEMBER
実は、10泉質の中では“新入り”です。
古い温泉の本を読んで、
「含よう素泉なんて載ってなかったけど?」
と思った方。
その感覚は間違いではありません。
含よう素泉は、
2014年の鉱泉分析法指針改訂で、
療養泉の分類へ新たに加えられた泉質です。
温泉の分類も、時代とともに変わる。
昔からよう素を含む温泉自体は存在していました。
しかし現在は、
よう化物イオン10mg/kg以上という基準をもつ
独立した泉質として扱われています。
温泉の世界も、ずっと同じではないんです。
READ THE ANALYSIS
分析書では「I⁻」を探す。
含よう素泉を探すなら、
温泉分析書のよう化物イオンを見てみましょう。
化学記号ではI−と表されます。
含よう素泉の基準
「ナトリウム-塩化物泉」のような
塩類泉と組み合わされることもあります。
その場合、
湯ざわりや湯上がりの印象には
塩化物泉側の個性も加わります。
泉質名は、最後まで読んでみる。
これが分析書を楽しむコツです。
COLOR OF IODINE
時間がたつと、色が変わることも。
含よう素泉では、
時間の経過によって黄色みを帯びる湯があります。
ヨード液を思わせるような茶褐色や、
薬を思わせる香りを持つ湯に出会うこともあります。
色まで、少し薬湯のよう。
ただし、
すべての含よう素泉が濃い茶色になるわけではありません。
色だけで泉質を決めず、
最後はやっぱり温泉分析書。
ここでもI−の出番です。
FEEL THE WARMTH
含よう素泉は、“よう素だけ”で見ない。
含よう素泉を楽しむとき、
見ておきたいのが泉質名の続きです。
たとえば酒々井温泉 湯楽の里は、
含よう素-ナトリウム-塩化物強塩泉。
つまり、
よう素だけでなく、
塩分を多く含む塩化物泉としての個性も持っています。
酒々井温泉 湯楽の里の温泉解説は、
温泉療法専門医の早坂信哉医師が監修しています。
この湯は塩分を多く含み、
保温性が高く湯冷めしにくいことから
「熱の湯」とも呼ばれる泉質として紹介されています。
「含よう素」という一部分だけを見るより、
泉質名全体から湯の個性を読むと、
実際に入ったときの感覚とつながってきます。
温泉分析書は、
成分を一個ずつ切り離して見るものではありません。
よう素。
ナトリウム。
塩化物。
濃度やpH。
それらが一緒になって、
その温泉の入り心地をつくっています。
ONSEN & SAUNA
温泉のあと、サウナもいい。
酒々井温泉 湯楽の里には、
天然温泉だけでなく、
高濃度炭酸泉やロウリュウサウナもあります。
せっかくの日帰り温泉。
「含よう素泉だけ入って帰る」では、
ちょっともったいない。
温泉へ浸かる。
少し休む。
サウナも楽しむ。
また露天風呂へ戻る。
そんなふうに、
一日の中で温浴そのものを楽しむのもいいですね。
気持ちよく温まることが目的で、
我慢することが目的ではありません。
温泉とサウナを組み合わせる日も、
水分をとりながら、
その日の体調に合わせて楽しみましょう。
HOW TO ENJOY
含よう素泉、どう楽しむ?
含よう素泉だからといって、
特別な入り方をする必要はありません。
むしろ、
泉質名や分析書と実際の入り心地を
結びつけてみるのがおすすめです。
「よう化物イオン」や「含よう素」の文字を探してみましょう。
塩化物泉など、 一緒に持っている泉質の個性にも注目です。
黄色や茶褐色、 薬を思わせる香りなど湯ごとの違いを楽しみます。
入浴中だけでなく、 上がったあとの温まり方や肌の感覚にも注目してみます。
GOOD MATCH
こんな温泉旅に、似合います。
いつもの温泉とは少し違う、 レアな泉質へ入ってみたい日に。
泉質名の長さや成分表まで、 読むこと自体が楽しい人へ。
火山から離れた場所にも、 面白い温泉があると知る旅に。
買い物やドライブの途中に、 少し珍しい泉質を楽しむのもいい。
ONSEN DESTINATIONS
含よう素泉に出会える温泉
千葉県酒々井町で楽しめる、
含よう素-ナトリウム-塩化物強塩泉。
よう化物イオンは98.3mg/kg。
含よう素泉の基準となる10mg/kgを大きく上回る、
個性のはっきりした温泉です。
酒々井プレミアム・アウトレットからも近いので、
昼はショッピング、
そのあと天然温泉とサウナでゆっくり——
そんな一日の組み合わせもいいですね。
東京都板橋区でも含よう素泉に出会えます。
さやの湯処の源泉は、
含よう素・ナトリウム-塩化物強塩温泉。
都市の中にも、
こんな個性的な泉質が湧いている。
それも東京の温泉の面白さです。
※同じ温泉地でも、源泉や施設によって泉質・成分・色・湯使いは異なります。 実際に利用する施設の温泉分析書をご確認ください。
Q & A
もうちょっとだけ、含よう素泉。
「ヨウ素泉」と「含よう素泉」は同じ?
一般には「ヨウ素泉」と呼ばれることもありますが、
現在の掲示用泉質名は「含よう素泉」です。
モヒログでも正式な泉質表記に合わせています。
茶色い温泉なら含よう素泉?
いいえ。
茶褐色の湯は含鉄泉や塩化物泉などでも見られます。
色だけでは判断せず、温泉分析書で確認します。
酒々井温泉は、なぜ湯冷めしにくい?
酒々井温泉 湯楽の里は、
含よう素-ナトリウム-塩化物強塩泉です。
公式の温泉解説では、
塩分を多く含むことから保温性が高く、
湯冷めしにくい「熱の湯」と紹介されています。
含よう素泉には、入浴特有の適応症がある?
現在の公的な泉質別適応症では、
含よう素泉だけに設定された浴用の項目はありません。
ただし実際の温泉は、
酒々井のように塩化物泉などほかの泉質条件も併せ持つことがあります。
飲める温泉なら飲んでもいい?
含よう素泉には飲用についての泉質別適応症もありますが、
自由に飲めるという意味ではありません。
飲泉する場合は、
飲用許可された場所で、
現地に表示された量と方法を守ることが前提です。
どうして昔の泉質一覧にはないの?
含よう素泉は、
2014年の鉱泉分析法指針改訂で
療養泉の分類へ新たに加えられました。
そのため古い温泉資料では、
現在とは異なる分類で書かれていることがあります。
MOI’S NOTE
温泉ソムリエ モイのひとこと
含よう素泉。
正直、
温泉好きになる前なら
名前を聞いてもたぶん素通りしていたと思います。
よう素……温泉に?
硫黄泉みたいに、
香りでこちらを振り向かせるわけでもない。
二酸化炭素泉みたいに、
腕へ泡が付くわけでもない。
それでも分析書を見ると、
しっかり「含よう素」の文字がある。
こういう湯を見つけると、
ちょっと嬉しい。
しかも酒々井なら、
「ちょっと珍しい泉質だから」と
大旅行を計画しなくてもいい。
アウトレットで買い物をして、
帰る前に温泉へ。
サウナにも入り、
最後に露天風呂でのんびり。
そんな一日の中にも、
ちゃんと含よう素泉がある。
珍しい泉質は、
必ずしも遠い秘湯にだけあるわけじゃない。
そう思わせてくれるのも、
含よう素泉の面白いところです。
酒々井温泉 湯楽の里については、 同施設の公式情報および温泉療法専門医・早坂信哉医師監修の温泉解説を参考にしています。
本記事は温泉を楽しむための旅行者向けガイドであり、 医療上の効果を保証するものではありません。
