【放射能泉(ラジウム泉)】みえないものを、湯は抱いている。

ONSEN SOMMELIER × MOHILOG

09 RADIOACTIVE

見えないものを、
湯は抱いている。

色も、香りも、派手な泡もないことがある。
それでも温泉分析書には、きちんと数字が残っている。
放射能泉は、目ではなく“成分”で知る泉質です。

30 SECOND GUIDE

放射能泉を、30秒で。

「放射能泉って……大丈夫?」
まずはここだけ読めば大丈夫です。

LOOK 見た目 見た目では分からない
AROMA 香り 特有の香りはない
KEY 主役 ラドン
GOOD SCENE こんな旅に 静かな湯治旅

放射能泉は、天然のラドンを一定量以上含む療養泉。
名前だけ聞くと少し身構えますが、 泉質分類としてきちんと基準が定められています。

※「放射能泉」という名称だけで健康効果や安全性を自己判断せず、 温泉施設の案内や温泉分析書を確認して利用します。

もっと知りたい方へ

ラドンって何? ラジウムとは違う?
ここから少しずつ、放射能泉の中身を見ていきます。

↓

ABOUT RADIOACTIVE SPRING

そもそも、放射能泉とは?

放射能泉とは、 温泉水1kg中に含まれるラドンが 30×10-10Ci以上、 現在の単位では111Bq以上ある療養泉です。

昔から使われている単位では、 8.25マッヘ単位以上が基準になります。

色や香りで見分けられる泉質ではないため、 正確に知るには温泉分析書を見る必要があります。

POINT 名前は強い。でも、見た目は静か。

硫黄泉の香りや含鉄泉の色のような、 分かりやすいサインがあるとは限りません。

放射能泉は、 分析して初めてその個性が見えてくる泉質です。

READ THE ANALYSIS

温泉分析書では「ラドン」を見る。

温泉分析書に Rnという表記があれば、 それがラドンです。

表示にはベクレルやマッヘ単位などが使われます。

Rn
RADON 111 Bq/kg 以上

= 8.25 マッヘ単位以上

日本温泉協会によれば、 一般の温泉水にもラドンがごく微量含まれる場合があります。

ただし、 放射能泉として分類されるには この基準値以上であることが必要です。

QUIET CHARACTER

“何もなさそう”なのが、面白い。

温泉へ入った瞬間に、 「これは放射能泉だ!」と分かる人は、 まずいないでしょう。

特別な色があるわけでもない。
特別な香りがあるわけでもない。

なのに分析書を見ると、
ラドンの数字がある。

これが面白いんです。

温泉というと、 つい「目で見える個性」を探してしまいますが、 数字の中にしか見えない個性もある。

放射能泉は、 温泉分析書を読む楽しさを教えてくれる泉質です。

OFFICIAL INDICATIONS

もう少し詳しく。泉質別適応症

環境省などが示している、 放射能泉の浴用の泉質別適応症には、 次の項目があります。

高尿酸血症(痛風) 関節リウマチ 強直性脊椎炎など
「微量の放射線=万能な健康法」ではありません。

放射能泉については、 「ホルミシス」という言葉と一緒に紹介されることもあります。

ただしモヒログでは、 免疫力アップや自然治癒力向上などを 温泉の確定的な効果としては紹介しません。

公的に示された泉質別適応症と、 研究段階・仮説を混同しないように扱います。

HOW TO ENJOY

放射能泉、どう楽しむ?

名前だけで、 特別な入り方をする必要はありません。

基本はほかの温泉と同じ。
体調と湯温を優先して、無理をしない。

01 分析書を見てみる

Rn、Bq、マッヘ。 普段あまり見ない数字を探すところから楽しめます。

02 かけ湯から

手足から少しずつ。 身体を湯温へ慣らしてから入ります。

03 長湯を競わない

「長く入れば多く作用する」と考えず、 気持ちよいところで一度休憩します。

04 施設の利用法を優先

湯治施設などでは独自の入浴方法が案内されることも。 現地の説明に従いましょう。

GOOD MATCH

こんな温泉旅に、似合います。

01 湯治場めぐり

温泉文化そのものを、 静かに味わってみたい旅へ。

02 ぬる湯旅

増富のような低温の源泉を、 時間をかけて楽しむ温泉地もあります。

03 分析書を見る旅

見た目では分からない成分を、 数字から読み解きたい人に。

04 静かな大人旅

派手な浴槽設備より、 湯と土地の歴史を楽しみたい日に。

ONSEN DESTINATIONS

放射能泉に出会える温泉地

TOTTORI 三朝温泉

放射能泉を代表する温泉地のひとつ。
日本温泉協会でも、 放射能泉の代表例として紹介されています。

YAMANASHI 増富ラジウム温泉郷

山梨県北杜市の山あいにある歴史ある湯治場。
ラジウム・ラドンを含む温泉として知られ、 低温の源泉を持つ施設もあります。

※同じ温泉地でも、源泉や施設によってラドン濃度・泉質・湯温・利用方法は異なります。 実際に利用する施設の温泉分析書をご確認ください。

Q & A

もうちょっとだけ、放射能泉。

「放射能泉」って、本当に入って大丈夫?

放射能泉は、環境省の鉱泉分析法指針で 基準が定められている療養泉の一分類です。

ただし「放射線なら何でも安全」という意味ではありません。 温泉施設として管理された湯を、 現地の利用方法に従って楽しみます。

ラジウム泉とラドン泉は同じ?

関係は深いですが、 厳密には同じ物質ではありません。

ラジウムが壊変することで生じる気体がラドンです。
現在の放射能泉の分類基準では、 温泉中のラドン量が使われます。

見た目で放射能泉だと分かる?

基本的には分かりません。
ラドンそのものを色や匂いで判別することはできないため、 温泉分析書を確認します。

ラドンは吸った方がいい?

自己流で積極的に吸入する必要はありません。

温泉地や施設に専用の利用方法がある場合は、 施設側の説明や安全管理に従ってください。

玉川温泉も放射能泉?

玉川温泉は、 強酸性の温泉として知られる温泉地です。

「岩盤浴=ラジウム泉」というイメージだけで 放射能泉と判断せず、 それぞれの温泉分析書で泉質を確認するのが確実です。

MOI’S NOTE

温泉ソムリエ モイのひとこと

正直、 「放射能泉」って名前は強いですよね。

初めて聞いたら、

……それ、入って大丈夫なの?

と思う方が自然だと思います。

でも実際に面白いのは、 名前の強さとは正反対なくらい 見た目が静かなこと。

白く濁っているわけでもない。
強い匂いがするわけでもない。
泡だらけでもない。

何も起きていないように見える。

そこで温泉分析書を見ると、 「ラドン」の文字がある。

放射能泉は、目ではなく数字から始まる温泉。

温泉を少し深く知り始めた人ほど、 こういう泉質が面白くなってくるんですよね。

泉質分類・泉質別適応症・ラドンに関する数値は、 環境省および日本温泉協会の資料を参考にしています。
本記事は温泉を楽しむための旅行者向けガイドであり、 放射線による医療・健康効果を保証するものではありません。
この旅の流れ