ONSEN SOMMELIER × MOHILOG
香りまで、
温泉になる。
湯けむりの向こうから届く、あの独特の香り。
乳白色、エメラルド、無色透明——表情もひとつではありません。
硫黄泉は、五感で「温泉に来た」と感じやすい泉質です。
30 SECOND GUIDE
硫黄泉を、30秒で。
「予約した宿が硫黄泉。どんなお湯?」
まずはここだけ読めば大丈夫です。
総硫黄を一定量以上含む温泉。
硫化水素型では、いわゆる“ゆでたまご”を思わせる
独特の香りを感じることがあります。
白濁する湯もありますが、硫黄泉=必ず白い湯ではありません。
※色・香り・肌ざわりは、成分構成・pH・源泉状態・湯温・湯使いによって異なります。
なぜあの香り? なぜ白くなる?
ここから少しずつ、硫黄泉の中身を見ていきます。
ABOUT SULFUR SPRING
そもそも、硫黄泉とは?
硫黄泉とは、
温泉水1kg中に総硫黄を2mg以上含む療養泉です。
たった2mg?と思いますが、
温泉の世界ではこれが硫黄泉を分ける基準。
そして硫黄泉は、
大きく「硫黄型」と
「硫化水素型」に分けられます。
遊離硫化水素を主としないタイプ。
香りが比較的穏やかな湯もあります。
遊離硫化水素を多く含むタイプ。
独特の香りを感じやすい硫黄泉です。
あの特徴的な香りの主役は硫化水素。
硫黄型では香りが弱い場合もあり、
泉質名だけで香りの強さまでは決まりません。
COLOR OF ONSEN
硫黄泉は、なぜ白くなる?
「硫黄泉」と聞いて、
乳白色の湯を思い浮かべる方も多いでしょう。
ところが源泉の段階では、
無色透明に近いこともあります。
空気に触れたり、
温泉中の成分が変化したりすることで、
微細な硫黄成分などが湯を白く見せることがあります。
湧いた瞬間と、
浴槽の色が違うこともある。
奥日光湯元温泉でも、
源泉は無色透明ながら、
地上で空気に触れることで乳白色や
エメラルドグリーンへ変わると紹介されています。
硫黄泉は、色の変化まで含めて楽しめる湯。
THE AROMA
あの香りの正体は?
硫化水素型の硫黄泉で感じることのある、
“ゆでたまご”のような独特の香り。
その主な正体が硫化水素です。
香りまで含めて温泉旅の記憶になる一方で、
硫化水素は高濃度になると危険な気体でもあります。
温泉施設では安全基準に沿った換気や管理が行われています。
利用者側も、換気口を塞いだり、
顔を湯面へ近づけて香りを吸い込んだりせず、
現地の案内に従って楽しみましょう。
OFFICIAL INDICATIONS
もう少し詳しく。泉質別適応症
ここからは少し専門的なお話です。
環境省が示している硫黄泉の
浴用の泉質別適応症には、次の項目があります。
これらは温泉施設で掲示される
公的な泉質別適応症です。
温泉へ入れば皮膚疾患が治る、
高血圧や糖尿病が改善すると保証する意味ではありません。
症状がある場合は、
医療機関での治療を優先してください。
BEFORE BATHING
硫黄泉へ入る前に、ひとつ。
時計。
指輪。
ネックレス。
金属アクセサリーを身につけているなら、
入浴前に外して安全な場所へ保管しておくのがおすすめです。
HOW TO ENJOY
硫黄泉、どう楽しむ?
香りも色も個性的だからこそ、
つい「効きそう」と長く入りたくなります。
でも、温泉は我慢大会ではありません。
泉質やpH、入浴上の注意は施設ごとに確認。 まず分析書や掲示を見てみましょう。
手足から少しずつ。 湯温に身体を慣らしてから入ります。
まず3〜10分程度を目安に。 熱い湯や刺激を感じる湯では特に無理をしない。
ヒリヒリや気分の悪さを感じたら終了。 「効いている証拠」と我慢する必要はありません。
GOOD MATCH
こんな温泉旅に、似合います。
火山の景色や自然と一緒に、 温泉らしい香りまで楽しみたい旅へ。
乳白色や色の変化も含めて、 湯の表情を楽しみたい人に。
山の空気と湯けむり。 硫黄泉らしい旅情がよく似合います。
食事や観光だけでなく、 「この湯へ入りたい」と旅する日に。
ONSEN DESTINATIONS
硫黄泉に出会える温泉地
吾妻山の麓に湧く白濁の硫黄泉。
加水・加温を行わない源泉かけ流しでも知られる、
モイも何度となく訪れている大好きな温泉地です。
硫化水素型の硫黄泉で知られる温泉地。
湧きたては無色透明でも、
空気に触れて乳白色や緑色へ変わる湯があります。
標高約1,800mの山あいにある温泉地。
豊富な湧出量と、
高濃度の硫黄泉で知られています。
※同じ温泉地でも、源泉や施設によって泉質・成分・pH・湯使いは異なります。 実際に入浴する施設の温泉分析書をご確認ください。
Q & A
もうちょっとだけ、硫黄泉。
硫黄泉は、全部ゆでたまごの香り?
いいえ。
特徴的な香りは主に硫化水素によるものです。
硫黄型では香りが弱い場合もあります。
白い温泉なら全部、硫黄泉?
いいえ。
湯の色だけでは泉質を判断できません。
硫黄泉でも透明な湯がありますし、
別の泉質でも白濁する場合があります。
硫黄泉と硫酸塩泉は同じ?
別の泉質です。
硫黄泉は総硫黄を一定量以上含む泉質。
硫酸塩泉は、硫酸イオンが主成分となる泉質です。
アクセサリーは本当に黒くなる?
銀製品などは硫黄成分との反応によって
黒っぽく変色することがあります。
大切なものは入浴前に外し、
ロッカーなど安全な場所へ保管しておきましょう。
あの香り、たくさん吸った方がいい?
いいえ。
硫化水素は高濃度では危険な気体です。
湯面へ顔を近づけて積極的に吸い込むことはせず、
施設の換気や利用案内に従って楽しみましょう。
MOI’S NOTE
温泉ソムリエ モイのひとこと
硫黄泉って、
温泉地へ着く前から始まることがあります。
車を降りる。
少し歩く。
すると——
あ。温泉の匂いする。
まだ浴室にも入っていないのに、
それだけで旅モードになる。
僕にとって高湯温泉なんて、
まさにそんな場所です。
白い湯。
山の空気。
露天風呂から立ちのぼる湯けむり。
硫黄泉は、
湯船の中だけで完結しないんですよね。
香りまで含めて、ひとつの景色。
好き嫌いは分かれる。
服に香りが残ることだってある。
それでもまた、
あの湯へ入りたくなる。
硫黄泉は、記憶に残る温泉。
モイ的には、
それが最大の魅力です。
本記事は温泉を楽しむための旅行者向けガイドであり、 医療上の効果を保証するものではありません。
