【硫酸塩泉】肌を包む、静かな湯。

ONSEN SOMMELIER × MOHILOG

04 SULFATE

肌を包む、
静かな湯。

強い香りで主張するわけでもない。
けれど湯上がりには、しっとりとした余韻が残ることも。
硫酸塩泉は、静かに味わいたい温泉です。
(長野県下高井郡山ノ内町 渋温泉 共同浴場 一番湯 初湯)

30 SECOND GUIDE

硫酸塩泉を、30秒で。

「宿の温泉が硫酸塩泉。どんなお湯?」
まずはここだけ読めば大丈夫です。

SKIN 肌ざわり しっとり寄り
AFTER BATH 湯上がり ぬくもりを感じることも
AROMA 香り 比較的おだやか
GOOD SCENE こんな旅に 静かな温泉宿

硫酸イオンを主成分とする温泉。
肌に水分を運び、皮膜をつくる泉質として紹介され、 しっとりとした湯上がりを感じることがあります。

※肌ざわりや湯上がりの印象は、成分構成・濃度・湯温・湯使い・個人差によって異なります。

もっと知りたい方へ

「芒硝泉」「石膏泉」という昔の名前も、この仲間。
ここから少しずつ、硫酸塩泉の中身を見ていきます。

↓

ABOUT SULFATE SPRING

そもそも、硫酸塩泉とは?

硫酸塩泉は、 温泉水1kg中の溶存物質量が1,000mg以上あり、 陰イオンの主成分が硫酸イオンとなる温泉です。

名前だけ見ると、 なんとなく理科室の薬品棚を思い出しそうですが、 実際の温泉はもっと穏やか。

無色透明で香りも控えめな湯も多く、 泉質名を知らずに入れば、 「静かで入りやすい湯だな」と感じることもあります。

POINT 硫酸塩泉にも、いくつかタイプがあります。

陰イオンの主役は同じ硫酸イオンでも、 陽イオン側の主成分によって、 ナトリウム・カルシウム・マグネシウムなどに分かれます。

READ THE ANALYSIS

「芒硝泉」「石膏泉」って何?

昔の温泉案内を読んでいると、 少し風情のある名前が出てきます。

Na ナトリウム-硫酸塩泉

旧称:芒硝泉

Ca カルシウム-硫酸塩泉

旧称:石膏泉

Mg マグネシウム-硫酸塩泉

旧称:正苦味泉

「芒硝泉」と書いてぼうしょうせん。

温泉地の古い案内板や昔の資料では、 こうした旧泉質名が残っていることがあります。

新しい名前と古い名前がつながると、 温泉街を歩く楽しみが少し増えます。

FEEL THE ONSEN

硫酸塩泉の魅力は、湯上がりの静けさ。

硫黄泉のように、 香りだけで「温泉に来た!」と分かるタイプではありません。

でも、湯船から上がって肌に触れてみる。

そのとき、 しっとりとした感触や、 やわらかな余韻を感じることがあります。

派手ではない。
でも、ちゃんと残る。

温泉って、 強烈であることだけが魅力ではありません。

湯に浸かっている時間よりも、 部屋へ戻ってから「あの湯、よかったな」と思い出す。

硫酸塩泉には、 そんな静かな良さがあります。

OFFICIAL INDICATIONS

もう少し詳しく。泉質別適応症

ここからは少し専門的なお話です。

環境省が示している硫酸塩泉の 浴用の泉質別適応症には、次の項目があります。

きりきず 末梢循環障害 冷え性 うつ状態 皮膚乾燥症
「傷の湯」は、あくまで昔からの呼び名。

硫酸塩泉は「傷の湯」と紹介されることがありますが、 温泉へ入れば傷が治ると断定する意味ではありません。

モヒログでは、公的に示されている適応症と、 旅先で感じる湯の印象を分けて紹介します。

HOW TO ENJOY

硫酸塩泉、どう入る?

硫酸塩泉だからといって、 特別な入り方をする必要はありません。

大切なのは、 泉質の名前より湯温と自分の体調です。

01 まず水分を

入浴前に水分補給。 冬の温泉旅でも忘れずに。

02 かけ湯から

手足から少しずつ。 身体を湯温へ慣らします。

03 最初は短めに

まず3〜10分程度から。 気持ちよいところで一度休みましょう。

04 湯上がりも楽しむ

水分を補給して少し休憩。 肌ざわりや余韻も温泉の一部です。

GOOD MATCH

こんな温泉旅に、似合います。

01 静かな温泉宿

湯の個性を、 落ち着いた空間でじっくり楽しみたい日に。

02 乾燥する季節

湯上がりのしっとりした感触を、 ゆっくり確かめてみたい季節に。

03 朝風呂

香りが穏やかな湯なら、 静かな朝にもよく似合います。

04 大人の温泉旅

派手さより、 入ったあとの余韻を大切にしたい旅へ。

ONSEN DESTINATIONS

硫酸塩泉に出会える温泉地

硫酸塩泉は全国各地にあります。
日本温泉協会では、次の温泉地などが例として紹介されています。

GUNMA 法師温泉

群馬県みなかみ町の山あいに佇む名湯。
木造の浴舎と静かな湯の時間が印象的な温泉です。

SHIZUOKA 天城湯ヶ島温泉

伊豆・天城の自然に包まれた温泉地。
硫酸塩泉の代表例として紹介されています。

※同じ温泉地でも、源泉や施設によって泉質が異なる場合があります。 宿泊先の温泉分析書も確認してみてください。

Q & A

もうちょっとだけ、硫酸塩泉。

「硫酸」と聞くと、刺激が強そうだけど大丈夫?

泉質名に「硫酸」と入りますが、 化学薬品の硫酸そのものへ入るわけではありません。
温泉中の硫酸イオンを主成分とする泉質分類です。

硫黄泉とは同じもの?

別の泉質です。
硫酸塩泉は硫酸イオンが主成分となる泉質。
硫黄泉は総硫黄を一定量以上含む温泉で、 特有の香りを感じるものもあります。

「芒硝泉」は別の泉質?

現在のナトリウム-硫酸塩泉にあたる旧泉質名です。
古い温泉案内などでは「芒硝泉」と書かれていることがあります。

飲泉してもいい?

硫酸塩泉には飲用の泉質別適応症もありますが、 飲泉は飲用許可された施設だけで行い、 現地に表示された方法や量を必ず守りましょう。
浴槽のお湯を自己判断で飲むことはできません。

MOI’S NOTE

温泉ソムリエ モイのひとこと

硫酸塩泉って、 泉質名だけではちょっと損をしている気がします。

「硫酸」なんて聞くと、 なんだか危険物取扱者の試験でも始まりそうです。

ところが湯は、意外なくらい静か。

強烈な香りでこちらを振り向かせるわけでもない。
見た瞬間に驚く色でもない。

でも、ゆっくり浸かって、 上がってから肌に触れてみる。

「あ、この湯よかったな」

そう後から思わせてくれるタイプがあります。

硫酸塩泉は、声の大きくない名脇役。

旅館の静かな夜には、 こういう湯が妙に似合うんですよね。

泉質分類・泉質別適応症・入浴上の注意は、 環境省および日本温泉協会の資料を参考にしています。
本記事は温泉を楽しむための旅行者向けガイドであり、 医療上の効果を保証するものではありません。
この旅の流れ