美食の聖域へ『エクシブ山中湖 』宿泊記④|夕暮れの個室で交わす乾杯。中尾シェフが贈る至高のコース

「素敵な部屋だね」

「個室っていいね!凄〜い」

「じゃ、乾杯しようか。おめでとう、楽しい1年を」

乾杯するグラス(僕) 乾杯するグラス(ユン)

「ありがとう」

イルコローレの個室で、僕らはユンの誕生日を祝いました。

まだ明るい窓の外に雄大な富士山を眺めながら、極上の白ワインで喉を潤します。

『コンコン…』

「どうぞ」

専属スタッフさんが、最初のお料理を運んできてくれました。

「わぁ〜綺麗!凄〜い」

最初のお料理全体

ガラスの器の中にふわりと浮かび上がる、オレンジ色の鮮やかなリボン。

『お待たせいたしました。最初のお料理、オシェトラキャビア 人参とオレンジ風味のムース 甲斐路軍鶏のコンソメジュレを添えてとなります』

キャビアのズーム

『上に乗っているオシェトラキャビアと一緒にお楽しみ下さい』

宝石のように黒く輝くキャビアの塩味と、甲斐路軍鶏の深い旨味が溶け込んだコンソメジュレ。

人参とオレンジの爽やかな甘みがそれらを優しく包み込み、口の中で完璧なマリアージュを奏でます。

美しい夕暮れの光の中で味わう、まさに芸術的なプロローグです。

そして窓の外の景色が、少しずつオレンジから青色に染まり始めた頃。

『お待たせいたしました、こちらが FUJI Verdure Misto(富士のミックス野菜) となります』

「うわ〜何?凄い綺麗〜」

『こちら、窓の外に見えます”富士山”の描かれたお皿となります』

………色々説明してくれ、その時は理解したけど…料理の詳細忘れちゃいました。。。

富士山を描いたお皿全体

『それではどうぞお楽しみください』

真っ白なプレートの上に、色とりどりの食材で描かれた雄大な富士山。

実はこの一皿には、中尾崇宏料理長の「野菜に対する並々ならぬ愛情と哲学」がギュッと詰め込まれています。

銀座の名店でミシュラン一つ星を9年連続で獲得した名匠が、この山中湖という地で辿り着いたのは、「本当に良い食材は、その地元でしか出回らない」という真理でした。

毎朝、出勤前に自ら地元の農家へ足を運び、無農薬・有機栽培にこだわった朝採れ野菜を仕入れる。

若き日にイタリアの田舎で学んだ“マンマの味(おふくろの味)”を原点とし、自然の恵みと対話するように料理を組み立てていくのです。

この「FUJI Verdure Misto」は、そんなシェフの誠実な想いが息づく、生命力あふれる一皿。

お皿の上の芸術作品を、さらに近くで覗いてみましょう。

チュイルに挟んだフォアグラコンフィ

まずは右上に鎮座する、網目状の繊細なチュイル。

この間には、なめらかで濃厚な「フォアグラコンフィ」がサンドされています。

サクッとした軽やかな食感の後に広がる、極上の旨味。これだけでワインが止まらなくなる至福の味わいです。

透明なジュレとハーブ

「さすが!すごいね!」

「これ…わかんないな……」

目にした瞬間に好奇心を掻き立てられる、ワンスプーンに乗せられた透明な雫。

口に運ぶまで正体が分からないというのも、ガストロノミーならではのワクワクする魔法です。

小さな花束

そして、思わず見とれてしまう花束のような一角。

「無いなら無いなりに、あるものでどうするかを考える。地元の旬に任せた方が、料理が自然になる」と語る中尾シェフ。

瑞々しい春野菜が可憐な小花とともに束ねられたこの小さなブーケは、まさにその日、その時の畑が教えてくれた「ちいさな旬」の結晶です。

赤い宝石のような野菜

深い赤紫が美しい、まるで宝石のようなルビー色のピース。

鮮やかなエディブルフラワーがあしらわれ、お皿の上の富士山にドラマチックな彩りを与えています。

イチゴとピンクの花びら

さらに、フレッシュなイチゴと花びらのように仕立てられたピンクの野菜たち。

たった6卓だけのプライベート空間だからこそ実現できる、妥協のない手仕事。

一品一品に込められた生産者への敬意と、野菜たちの持つ自然の甘みや苦みが、口の中で重なり合い、優しくほどけていきます。

窓の外の富士のシルエットがゆっくりと変わっていく中で、お皿の上の富士山を味わい尽くす。

なんという贅沢な時間の使い方でしょうか。

極上のプロローグを経て、次回はいよいよ魅惑のメインディッシュへと進みます。

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