前回は、客室の温泉に浸かりながら、地元スーパーで買ったビールを楽しみました。
そろそろ夕食の時間。
予約していた個室へ向かいましょう。
さて、時間となりました。
古窯にはいくつかの個室会食場があり、僕らが案内されたのは立礼(りゅうれい)
個室を希望していましたが、実際にどの会場になるのかは当日までわからないとのこと。
追加料金は僕の記憶では3,000円ほどだったと思いますが、プランや時期によって異なる可能性がありますので、利用する場合は予約時に確認してくださいね。
会場へ到着すると、スタッフの方がそのまま僕らの個室まで案内してくださいました。
古窯公式によるとRYUREYは、レンガ造りのエントランスなど『ハイカラモダン』な雰囲気を楽しめる椅子・テーブル式の個室会食場。
館内に突然、小さな洋館が現れたような空間として紹介されています。
個室の夕食は、もうひとつ別の場所へ旅をするような感覚がいいですね。
さて、個室へ。
『おぉ……いいね』
余計な音がなく、落ち着いた室内。
テーブルには、すでに今夜のための器が並んでいます。
個室の良さって、この自分たちの時間が何とも贅沢で。
今日一日の出来事を話してもいい。
黙って料理を待っていてもいい。
そんな距離感が心地よくて、着席しただけで心が躍ります。
お品書きを、そっと開きます。
小鉢、蛤の土瓶蒸し、お刺身、鮑。
そして、楽しみにしていたすき焼き。
そのあとには古窯名物のパイシチューや食事、デザートまで続きます。
さて。
まずは何を飲みましょうか。
お酒はどうしましょう。
いや……。
ここは山形ですからね。
日本酒好きな僕が立礼のエントランスで目を留めたのは、高木酒造の『朝日鷹』
高木酒造といえば、かの『十四代』でも知られる蔵です。
念のため十四代の在庫も尋ねてみると……。
『確認しますので少々お待ちください』
「ゴクリ……」
どうだろう。
あるのか……?
あ、戻ってきた……。
『お客様、十四代ですが』
『ございます』
おおっ。
あるんだ。
そして、お値段を確認。
………うん。
「ありがとうございます。今回は朝日鷹をお願いします」
さすが十四代、1合でも桁違いだなんて動揺はしてませんよ。
ハ…ハハッ。。
ただ……今夜は地元流通の
朝日鷹が猛烈に美味しそうなので。。
旅には、こういう『大人の判断』も必要です。
津軽びいどろを思わせるような、淡い色が散りばめられた涼しげな酒器をさらっと合わせてくるあたり、センスがいい。
では、ひと口。
………。
『うまい』
朝日鷹、とても美味しい。
ホント最高です。
料理が始まる前から、もう山形の夜に掴まれてしまいました。
そして、運ばれてきたのがこちらのお重。
赤地の華やかな柄に金の組紐。
蓋を開ける前から素敵な演出してくれます。
こういうの、いいね。
何が入っているのかわからない数秒まで、料理の一部。
開けてみると、一気に食卓が華やぎました。
お品書きでは『壱の重 山と野と海の幸小鉢盛り』
蛸や蓮根、青菜などが、それぞれ小さな景色のように盛り付けられています。
酒をひと口。
料理をひと口。
朝日鷹と合わせながら、ゆっくりいただくにはちょうどいい始まりです。
続いては、蛤の土瓶蒸し。
蓋を開ける前から漂う、やさしい香り。
まずは出汁をいただきます。
『あぁ……』
旨味のある温かな出汁が、身体の奥までじんわり染み渡ります。
冷たい日本酒のあとにこの温かさ。
コレまた美味しい一杯。
次のお刺身も、ただ盛るだけではありません。
大きな葉の上に、海老や鮪などのお刺身。
その下に見える器が気になって、横から覗いてみると……。
『これ、氷じゃん』
器そのものが氷で作られています。
手が込んでるね、持って帰りたいよ〜いや、溶けるか。
なんて何気ない会話を交えさせてもらいながら
食材だけではなく、料理が目の前へ届いた瞬間まで楽しませる。
温泉旅館の夕食って、こういう演出が楽しかったりします。
そして『弐の重 鮑の酒蒸し』
鮑を中心に、緑のソースが映える美しいひと皿。
鮑らしい弾力を残しながらも、噛むほどにやわらかく、旨味が広がります。
そして。
待っていました。
きたー。
すき焼きの登場!
黒い鍋に並べられた『特選牛すき焼き』
もう説明はいらないでしょう。
肉の上のスヌーピーのウッドストック風のあしらいも素敵です。
グツグツ……。
割り下が煮立ち、お肉の色が少しずつ変わっていきます。
湯気と一緒に、甘辛い香りが立ち上がる。
もうこれは反則です。
肉を口へ運べば、脂の甘みと割り下の旨味。
そこへ朝日鷹をひと口。
………幸せ。
個室なので肉の旨味にトロケた顔でも周りを気にせず、食べられる。
忙しない日々から逃れてきた、せっかくの非日常です。
できれば食事くらいは、静かに気を使いすぎず愉しみたい。
個室をお願いしてよかったと思うのは、こういう時間です。
続いて登場したのが『古窯開運窯パイシチュー』
紙に包まれたパイシチュー
そろーり……。
めくってみると、こんがり焼けた丸いパイ。
これをスプーンで割っていただきます。
ザクッ。
開運祈願し、窯開きすると温かなシチューが顔を出します。
実は、このパイシチューには古窯らしい物語があるようです。
『古窯』という宿名は、敷地内から発掘された約1,300年前、奈良時代の窯跡にちなんで名付けられたもの。
料理に添えられた説明にも、その窯跡と『開運』の文字が記されていました。
今夜の宴と、客のさらなる開運を願って仕立てられたという、古窯ならではの気の利いた名物料理です。
つまりこれは、単なるパイシチューではなく。
宿の名前そのものを、一皿にした料理。
気にせず食べれば、美味しいパイシチューなだけなのかもしれません。
でも旅先では、普段なら見過ごしてしまうような何気ない小さなことや物に気づかされます。
景色だったり。
料理の名前だったり…。
そこに添えられた、短い物語だったり……。
そんな発見が『旅』の楽しさだと思ってます。
このあとにも料理は続いたのですが……。
すみません。
写真が少し足りません。
朝日鷹を飲み、料理をいただき、個室での時間を愉しんでいるうちに、すっかり撮ることを忘れていました。
すみません。
でも旅って、それくらいがいいのかもしれません。
全部を写真へ残してしまうより、このブログを見て古窯へ行ってくださった方にも、まだ知らない料理や、新しい発見が残っていますしね。
そして夕食の最後はこちら。
『古窯特製 窯プリン』です。
ここでひとつ。
古窯の向かいには、同じ古窯グループが手がける有名な『山形プリン』があります。
僕も最初は『あのお店のプリンかな?』と思ったのですが、こちらは別物だそうです。
調べてみると、たしかに方向性が違いました。
古窯の『窯プリン』は、宿の夕食で提供される和を意識したプリン。
公式によれば、和三盆糖と蔵王の地鶏卵の卵黄を使い、濃厚でなめらかな口当たりに仕上げています。
一方の『山形プリン』は、山形県産のやまべ牛乳や紅花卵、旬のフルーツなどを使うプリン専門店。
同じ古窯グループから生まれたプリンでも、こちらは『旅館の夕食を締める窯プリン』
向かいのお店は『山形の素材や果物を楽しむ山形プリン』
似ているようで、コンセプトは少し違います。
そう聞くと、向かいの山形プリンも気になってきますね……。
さすが古窯。
商売上手です。
蓋を外すと、凛とした和ごころある趣。
スプーンでプツッと表面を突破すると、中はやわらか。
食事をしっかりいただいたあとでも、すっと入ってしまいます。
ここへ別添えのカラメルソースを加えれば、ほろ苦さが重なってもうひと口。
危険ですね。
『デザートは別腹』とは、こういう時のために用意された言葉なのでしょう?
いやぁ……食べました。
部屋へ戻り、絶えず注がれる温泉に浸かり古窯の1日目は終わりです。
そろそろ夕食の時間。
予約していた個室へ向かいましょう。
▶ 前回のお話|古窯宿泊記③「客室温泉と、何もしない贅沢な午後」
夕食の時間。個室会食場『RYUREY』へ
古窯にはいくつかの個室会食場があり、僕らが案内されたのは立礼(りゅうれい)
個室を希望していましたが、実際にどの会場になるのかは当日までわからないとのこと。
追加料金は僕の記憶では3,000円ほどだったと思いますが、プランや時期によって異なる可能性がありますので、利用する場合は予約時に確認してくださいね。
会場へ到着すると、スタッフの方がそのまま僕らの個室まで案内してくださいました。
古窯公式によるとRYUREYは、レンガ造りのエントランスなど『ハイカラモダン』な雰囲気を楽しめる椅子・テーブル式の個室会食場。
館内に突然、小さな洋館が現れたような空間として紹介されています。
個室の夕食は、もうひとつ別の場所へ旅をするような感覚がいいですね。
『おぉ……いいね』
余計な音がなく、落ち着いた室内。
テーブルには、すでに今夜のための器が並んでいます。
個室の良さって、この自分たちの時間が何とも贅沢で。
今日一日の出来事を話してもいい。
黙って料理を待っていてもいい。
そんな距離感が心地よくて、着席しただけで心が躍ります。
小鉢、蛤の土瓶蒸し、お刺身、鮑。
そして、楽しみにしていたすき焼き。
そのあとには古窯名物のパイシチューや食事、デザートまで続きます。
さて。
まずは何を飲みましょうか。
目次
山形の夜ですから、高木酒造を
いや……。
ここは山形ですからね。
日本酒好きな僕が立礼のエントランスで目を留めたのは、高木酒造の『朝日鷹』
高木酒造といえば、かの『十四代』でも知られる蔵です。
念のため十四代の在庫も尋ねてみると……。
『確認しますので少々お待ちください』
「ゴクリ……」
どうだろう。
あるのか……?
あ、戻ってきた……。
『お客様、十四代ですが』
『ございます』
おおっ。
あるんだ。
そして、お値段を確認。
………うん。
「ありがとうございます。今回は朝日鷹をお願いします」
さすが十四代、1合でも桁違いだなんて動揺はしてませんよ。
ハ…ハハッ。。
ただ……今夜は地元流通の
朝日鷹が猛烈に美味しそうなので。。
旅には、こういう『大人の判断』も必要です。
では、ひと口。
………。
『うまい』
朝日鷹、とても美味しい。
ホント最高です。
料理が始まる前から、もう山形の夜に掴まれてしまいました。
華やかなお重から始まる、古窯の夕食
赤地の華やかな柄に金の組紐。
蓋を開ける前から素敵な演出してくれます。
こういうの、いいね。
何が入っているのかわからない数秒まで、料理の一部。
お品書きでは『壱の重 山と野と海の幸小鉢盛り』
蛸や蓮根、青菜などが、それぞれ小さな景色のように盛り付けられています。
酒をひと口。
料理をひと口。
朝日鷹と合わせながら、ゆっくりいただくにはちょうどいい始まりです。
蓋を開ける前から漂う、やさしい香り。
まずは出汁をいただきます。
『あぁ……』
旨味のある温かな出汁が、身体の奥までじんわり染み渡ります。
冷たい日本酒のあとにこの温かさ。
コレまた美味しい一杯。
大きな葉の上に、海老や鮪などのお刺身。
その下に見える器が気になって、横から覗いてみると……。
器そのものが氷で作られています。
手が込んでるね、持って帰りたいよ〜いや、溶けるか。
なんて何気ない会話を交えさせてもらいながら
食材だけではなく、料理が目の前へ届いた瞬間まで楽しませる。
温泉旅館の夕食って、こういう演出が楽しかったりします。
鮑を中心に、緑のソースが映える美しいひと皿。
鮑らしい弾力を残しながらも、噛むほどにやわらかく、旨味が広がります。
そして。
待っていました。
すき焼きの登場!
黒い鍋に並べられた『特選牛すき焼き』
もう説明はいらないでしょう。
肉の上のスヌーピーのウッドストック風のあしらいも素敵です。
割り下が煮立ち、お肉の色が少しずつ変わっていきます。
湯気と一緒に、甘辛い香りが立ち上がる。
もうこれは反則です。
肉を口へ運べば、脂の甘みと割り下の旨味。
そこへ朝日鷹をひと口。
………幸せ。
個室なので肉の旨味にトロケた顔でも周りを気にせず、食べられる。
忙しない日々から逃れてきた、せっかくの非日常です。
できれば食事くらいは、静かに気を使いすぎず愉しみたい。
個室をお願いしてよかったと思うのは、こういう時間です。
古窯の物語まで味わって、夜はゆっくり更けていく
紙に包まれたパイシチュー
めくってみると、こんがり焼けた丸いパイ。
これをスプーンで割っていただきます。
ザクッ。
開運祈願し、窯開きすると温かなシチューが顔を出します。
『古窯』という宿名は、敷地内から発掘された約1,300年前、奈良時代の窯跡にちなんで名付けられたもの。
料理に添えられた説明にも、その窯跡と『開運』の文字が記されていました。
今夜の宴と、客のさらなる開運を願って仕立てられたという、古窯ならではの気の利いた名物料理です。
つまりこれは、単なるパイシチューではなく。
宿の名前そのものを、一皿にした料理。
気にせず食べれば、美味しいパイシチューなだけなのかもしれません。
でも旅先では、普段なら見過ごしてしまうような何気ない小さなことや物に気づかされます。
景色だったり。
料理の名前だったり…。
そこに添えられた、短い物語だったり……。
そんな発見が『旅』の楽しさだと思ってます。
このあとにも料理は続いたのですが……。
すみません。
写真が少し足りません。
朝日鷹を飲み、料理をいただき、個室での時間を愉しんでいるうちに、すっかり撮ることを忘れていました。
すみません。
でも旅って、それくらいがいいのかもしれません。
全部を写真へ残してしまうより、このブログを見て古窯へ行ってくださった方にも、まだ知らない料理や、新しい発見が残っていますしね。
そして夕食の最後はこちら。
ここでひとつ。
古窯の向かいには、同じ古窯グループが手がける有名な『山形プリン』があります。
僕も最初は『あのお店のプリンかな?』と思ったのですが、こちらは別物だそうです。
調べてみると、たしかに方向性が違いました。
古窯の『窯プリン』は、宿の夕食で提供される和を意識したプリン。
公式によれば、和三盆糖と蔵王の地鶏卵の卵黄を使い、濃厚でなめらかな口当たりに仕上げています。
一方の『山形プリン』は、山形県産のやまべ牛乳や紅花卵、旬のフルーツなどを使うプリン専門店。
同じ古窯グループから生まれたプリンでも、こちらは『旅館の夕食を締める窯プリン』
向かいのお店は『山形の素材や果物を楽しむ山形プリン』
似ているようで、コンセプトは少し違います。
そう聞くと、向かいの山形プリンも気になってきますね……。
さすが古窯。
商売上手です。
スプーンでプツッと表面を突破すると、中はやわらか。
食事をしっかりいただいたあとでも、すっと入ってしまいます。
ここへ別添えのカラメルソースを加えれば、ほろ苦さが重なってもうひと口。
危険ですね。
『デザートは別腹』とは、こういう時のために用意された言葉なのでしょう?
参考:日本の宿 古窯公式|古窯特製 窯プリン
参考:山形プリン公式サイト
いやぁ……食べました。
部屋へ戻り、絶えず注がれる温泉に浸かり古窯の1日目は終わりです。
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